アッラーの存在と唯一性
信仰の六つの条件の1番目が、アッラーを信じることです。
理性を持ち、思春期に達した人間の最初の、そして最も重要な務 めが、アッラーの存在と唯一性を認め信じることです。
周囲を眺めれば、何事であれ、それ自体が勝手に存在している ものではないことがわかります。美しい芸術作品は、それを作り出 した作家の存在を示しています。例えば、私たちが使っている時計 をつくる職人、芸術作品を生み出す画家、建物を設計する建築家は 存在しませんか。もちろん存在しています。
だから、たいへん精緻な設計で創られ、完璧な秩序のうちに作 動しているこの世界、そしてそこに生きる最も素晴らしい芸術作品 である人間にも、もちろん創造主が存在するのです。そう、この創造 主が、無限の力と強さの主であるアッラーなのです。世界はアッラー の存在を、そしてこの世界に見られる秩序と完全な均衡は、アッラー の唯一性を示しているのです。
私たちの最初の務めは、私たちを創造され生かされているアッ ラーを信じること、アッラーに心から結びつくことです。アッラーを正 しく信じ、崇高なその存在をよく知るためには、アッラーの特質を学 ぶ必要があります。
アッラーの特質
アッラーには14の特質があります。このうち6つはザ一テイ、8つは スブーテイと呼ばれるものです。
ザ一テイの特質
(これらの特質はアッラーに関する必須事項 であり、その逆を考えることはできません)
- ヴジュード: 存在すること、存在しないことが考えられないこと。
- クダム: アッラーの存在に始まりがないこと。アッラーは途中から存在し 始められたのではないこと。他に何も存在しないときでも、アッラー は存在しておられたこと。
- ベ力一: アッラーの存在には終わりはないこと。全てが消失した後でもア ッラーは存在しつづけられること。
- ワフダ一ニヤ: アッラーが唯一であられること。アッラーは唯一であられ、アッラ ーに並ぶものも類するものも存在しないこと。
- ムハーラフアトウン・リル・ハワア一デイス: 後に創造されたものにアッラーは似ておられないということ。
- クヤ一ム・ピナフシヒ: アツラ一の存在はご自身によるもので、アッラーは何ものをも必 要とされないということ。全てのものがアツラ一を必要としていると いうこと。
スブーテイの特質
(これらの特質はアッラーに関して疑いな く確実である事柄です)
- ハヤ一卜: 命あるお方であること。アッラーは永遠に命あるお方であるとい うこと。
- イリム: ご存知であること。
- サミ: 全てを聞かれること。
- バサール: 全てをご覧になること。
- イラーダ: 望まれること。
- クドウラタ: 力が十分であること。アッラーは無限の力を持たれ、全てにその 力が十分である ということ。
- カラ一ム: 語られること。アッラーは語られ、その言葉を預言者たちに聞か せられたということ。クルアーンはアッラーの言葉です。
- タクウィーン: 創造されること。アッラーは創造主であられるということ。世界の 全てを創造されたのはアッラーであるということ。アッラーがその存 在を望まれたものは、「あれ」と命じられればすぐに存在するように なります。また存在しているものも、アッラーがお望みになれば消え 去ります。
イスラーム教徒はアッラーを次のように信じます。
アッラーは存在し、唯一であられます。その存在には始まりも終 わりもありません。アッラーは創造された何物にも似ておられませ ん。アッラーの存在はアッラーご自身によるものです。何物をも必要 とはされません。全ての被造物はアッラーを必要としています。
アッラーは常に命を持ったお方であられ、全てをご存知です。全 てを聞かれ、ご覧になられます。
アッラーは望まれ、望まれたことを実行されます。誰もその御業 に干渉することはできません。
アッラーは無限の力と強さを持たれた存在です。その力は全て に対し十分です。アッラーは創造主であられます。望まれるものを無 から創造され、望まれないものを消されます。世界にあるものは全 て、アッラーが創造されたからこそ存在します。また創造された全て のものには、英知が存在します。
アッラーは言葉の主であられ、預言者たちにその言葉をお聞か せになられ、そのご命令を伝えられました、イスラームの聖典クルア ーンは、アッラーのお言葉です。
アッラーをこのように正しく信仰する人は、被造物の中で誉れあ る位置を占め、真の価値を得ることになります。この信仰は人の心 のあらゆる穢れを消し、良い考えや性質でそれを飾ります。
人は、誰も見ていないところでも、道徳に反する行動をとらなく なります。なぜならアッラーが全てをご覧になっていること、全てを ご存知であることを信じているからです。アッラーへの信仰は、全て の善の源なのです。
アッラーへの愛情
アッラーは私たちに、ものを見るための目、聞くための耳、話す ための舌、仕事をするための手、歩くための足を与えられました。肉 体に理性や知恵を備えられ、私たちを被造物の中で最も優れた存 在として創造されました。
健康と幸福のうちに生きることができるよう、地上に多くの恵み を用意され、呼吸している空気や飲み水に至るまで、人のあらゆる 求めに応えられました。短時間でも空気のない状態で、呼吸ができ ないと人は生きていけません。命を失ってしまうのです。あらゆる瞬 間に私たちが必要としているこれらの恵みを考えるなら、アッラー が私たちにどれほどの恵みを下さっているか、よく理解できるでし ょう。
アッラーは次のように命じられています。
「たとえアッラーの恩恵を数えあげても、あなたがたはそれを 数えられないであろう。」(イブラーヒーム章34節)
人は、自分に良いことをしてくれた人を愛します。そうであるな ら、私たちが最も愛するべき存在はアッラーです。なぜならアッラー が私たちのために与えて下さったことは数えきれないほどあるから です。だから私たちもアッラーを愛するべきなのです。愛情は単に 言葉では不十分です。人は愛する存在に敬意を払い、その存在 か らよく思われないことは避けます。アッラーへの愛情は、その神聖な 御名を敬意を持って思い、アッラーが命じられた崇拝行為の務めを 喜んで果たし、禁じられたことを避けることによって深まるのです。
もし私たちがそのように振る舞い、アッラーを愛していることを 示すことができれば、アッラーも私たちを愛され、現世での富よりも なお豊かな恵みを来世で与えてくださるでしよう。
人にとって最大の幸福は、アッラーから愛される人となることで す。
アッラー
天地を創造され、
木をはぐくまれ、
花を咲かせられるお方、
唯一なるアッラー
動物に糧を与えられ、
人を生かされ、
この祖国を守られるお方、
唯一なるアッラー
アッラーはどこにも存在され、
私が何をこようともそれをご覧になられる
何を話してもそれをお聞きになられる
アッラーは存在され、唯一であられ、偉大なるお方
私はアッラーを愛し 、
そのお言葉を聞く
(サブワ・ジェミル・ヤルクルト)
コラム
ウ マ ル は 、カ リ フ で あ ら れ た 頃 、牛 乳 屋 が 牛 乳 に 水 を 混 ぜ る の 。そしてこの命令を各地に伝えられました。町々の 秩序を点検するためにある晚マディーナを歩いておられる際、疲れ を感じ、休憩するためにある家の壁にもたれていました。そのとき、
家の中の母親と娘の次のような会話を耳にしました。 母親「さあ、この牛乳の中に少し水を入れなさい」 娘「カリフさまが、牛乳に水を入れることを禁じられたのを知らな
いの。」
母親「知っているわよ」 娘「カリフさまが禁じられたことをどうして、できるの。」 母親「早く牛乳に水を入れなさい。ウマルはあなたのことなんて
見ていないわよ」 娘「ウマルさまは見れなくても、アッラーはご覧になっているわ
よ。彼が見ているところでできないことは、彼が見ていないところで も絶対にやらないわ」
ウマルはこの会話を聞いてから、家に戻りました。そして立派な 教えを身につけたこの貧しい少女を、自分の息子アーシムと結婚さ せたのでした。
アッラーへの愛情が人の行為に与える良い影響を示す話です。
質問
- 人の最初の務めは何ですか。
- アッラーにはいくつの特質がありますか。
- アッラーのザ一ティの特質を挙げてください。
- アッラーのスブーティの特質を挙げてください。
- 信者はどのようにアッラーを信仰しますか。